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【最先端】 企業が生成AIを活用して動画制作した事例10選

生成AI(ジェネレーティブAI)を活用した動画制作は、今や企業のマーケティング・採用・研修・商品紹介など、あらゆる分野に浸透しつつあります。従来は大きなコストや時間がかかっていた映像表現も、AIの力を借りることで短期間かつ低コストで実現できるようになってきました。また、生成AIを用いることで、撮影不要の映像制作、多言語対応のグローバル展開、大量のパーソナライズ動画配信など、従来では難しかった施策も可能になります。

「動画をビジネスに取り入れたいが、どう活用すればいいかわからない」「制作を依頼したいが、どの企業が良いか判断できない」といった課題をお持ちの企業も多いのではないでしょうか。

この記事では、企業が生成AIを活用して実際に動画制作を行った事例を10選ご紹介します。活用した技術や目的、成果を詳細に解説するので、今後の映像戦略を考える上での参考にしてみてください。

目次

生成AIを活用した動画制作とは?

生成AI動画制作の概要

生成AIを活用した動画制作とは、AIが映像や音声、キャラクター、字幕や編集などを自動生成する制作手法のことです。テキスト入力をもとに動画を生成する「Text-to-Video」、人物アバターを作成してナレーションさせる「AIアバター」、音声合成によるナレーションの自動化、そして自動編集やBGM生成・字幕挿入といった機能まで多岐にわたります。

従来の動画制作との違い

従来の動画制作では、撮影や編集に大きなコストや時間が必要でした。しかし生成AIを使うことで、これまで数週間かかっていた制作が数日で完了することも珍しくありません。さらに、人件費やスタジオ費用を大幅に削減できるため、コスト面でも大きな優位性があります。

活用されている代表的なAI技術

代表的な技術としては、RunwayやPika Labsなどの「Text-to-Video」ツール、SynthesiaやHeyGenなどの「AIアバター」ツール、SoundrawやAIVAなどのAI音楽生成ツールが挙げられます。こうしたツールを組み合わせることで、撮影不要の動画制作、多言語対応、パーソナライズ動画の大量展開などが可能になります。

企業が生成AIを活用して動画制作した事例10選

ここからは、生成AIを実際に取り入れた企業の事例を10社紹介します。それぞれの背景や課題、導入の効果、得られた成果に注目してください。

事例1:サントリー食品インターナショナル|“AI部長”が生んだ奇想天外なCM

出典:コミックナタリー

サントリー食品インターナショナルは、緑茶飲料「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」の新CM企画に、ChatGPTを“AI部長”として起用。AIが提案したストーリー案や声優を基に、人間では思いつきにくい奇想天外なWebCMを制作しました。結果、SNSで大きな話題となり、商品のPR効果を飛躍的に向上させることに成功。AIを企画のブレインストーミングやアイデア出しのツールとして活用し、クリエイティビティを増幅させた好例です。

事例2:大日本除虫菊(KINCHO)|生成AIとのブレストで若年層に響くCMを開発

出典:キンチョール

殺虫剤「キンチョール」で知られるKINCHOは、若年層への訴求力強化という課題に対し、生成AIをブレインストーミングに活用。画像生成AIで数千枚のビジュアル案を出力し、これまでにない「異世界風ヒーロー」という斬新なアイデアを創出しました。AIのアイデアを人間のクリエイターが磨き上げる共作プロセスを経て、若者に強く印象を残すユニークなCMを制作。AIとの協働が新たなクリエイティブを生むことを示したモデルケースです。

事例3:パルコ|全編AI制作でコスト削減と話題性を両立したファッション広告

出典:PARCO_official

ファッションビルのパルコは、キャンペーン広告においてモデル撮影やナレーション録音を一切行わず、映像・音声・音楽のすべてを生成AIで制作しました。この「まるごとAI広告」は、制作期間の大幅短縮とコスト削減を実現。同時に「すべてAIで作った」こと自体がニュースとなり、SNSや各種メディアで拡散され、ブランドの先進性をアピールすることに成功しました。制作の効率化とPR効果を両立した画期的な事例です。

事例4:伊藤園|日本初の“AIタレント”起用で新たな表現を確立

出典:oricon

伊藤園は「お~いお茶 カテキン緑茶」のテレビCMに、日本で初めてAI生成による人物モデル(AIタレント)を起用しました。「未来の自分を、今から始める」というメッセージを、一人のAIモデルが年齢を重ねていく演出で表現。この国内初の試みは大きな話題を呼び、視聴者に驚きと商品の新鮮さを強く印象づけました。AIだからこそ可能な新しい映像表現で、ブランドメッセージの訴求力を最大化した成功例です。

事例5:KDDI(au)|人気CMシリーズをAIアニメ化しブランドイメージを刷新

出典:oricon

KDDIは、人気CM「三太郎」シリーズの10周年企画として、過去の名場面を生成AIでアニメ化しました。人気イラストレーターの画風をAIに学習させ、温かみのあるアニメーションとしてリメイク。さらにBGMにはAI合成音声で歌う新曲を採用しました。長寿シリーズのマンネリ化を防ぎ、ファンに新たな魅力を提供すると同時に、ブランドの歴史と先進性を融合させた、見事なブランディング事例と言えます。

事例6:富士通|AIアバターによるプレゼン動画で業務効率を抜本改善

出典:富士通株式会社 (Fujitsu Limited)

富士通は、本人そっくりのAIアバターがプレゼン資料を自動で説明する生成AI技術を開発。PowerPointファイルをAIが解析して説明文を生成し、ユーザーの分身アバターが多言語でプレゼンを行います。これにより、人に依存しない均一な情報発信が24時間可能となり、社内のナレッジ共有の迅速化や、グローバル展開におけるプレゼン準備工数の大幅な削減が期待されています。動画活用による業務改革の大きな可能性を示す事例です。

事例7:沖縄海邦銀行|金融機関の先進性をアピールするAI企業CM

出典:沖縄海邦銀行公式チャンネル

沖縄海邦銀行は、国内金融機関で初めて、企業CMをほぼすべてAIで生成しました。背景、キャラクター、BGM、ナレーションまで複数のAIツールを駆使し、沖縄の未来と同行の先進性を幻想的なビジュアルで表現。「AI技術の活用」という事実そのものが、DXを推進する銀行の未来志向な姿勢をPRすることにつながりました。地方企業でもAI活用で効果的なブランディングが可能であることを示した好例です。

事例8:LIFULL|1万通りのAI生成画像で企業メッセージの浸透を加速

出典:moviecollectionjp

不動産情報サービスのLIFULLは、タレントのフワちゃんをモチーフにした1万種類の画像をAIで生成し、SNSキャンペーンに活用しました。固定観念にとらわれない多様な生き方という企業メッセージを、多彩な“AIフワちゃん”で視覚的に表現。コンテンツの大量生成とパーソナライズ化により、ユーザーの注目を集めてメッセージの浸透に大きく貢献しました。SNSマーケティングにおけるAI活用の新たな手法を示した事例です。

事例9:アウトソーシングテクノロジー|新入社員がAIアニメで出演する採用・育成動画

出典:BREXA Technology

技術者派遣のOSTechは、新入社員を有名漫画家風のAIアニメキャラクターとして登場させる応援CMを制作。社員自身が動画の主人公となることで、エンゲージメント向上やインナーブランディングに効果を発揮しました。この取り組みは、企業の先進性や社員を大切にする姿勢を社内外にアピールすることにも成功。採用活動や社員の定着率向上といった人事課題に対し、AI動画が有効な解決策となり得ることを示しています。

事例10:東京シティ競馬(TCK)|奇抜なAIキャラクターで競馬の新たなファン層を開拓

出典:TCK 東京シティ競馬【公式】

東京シティ競馬は、「リアルウマ娘」ともいえる奇抜なAIキャラクターが主人公のWebCMを展開。AIならではの非現実的なビジュアルのインパクトで、従来の競馬ファン以外にも情報をリーチさせることに成功しました。ネット上で大きな話題を呼び、競馬のイメージを刷新して新たなファン層の開拓に貢献。エンターテインメント業界におけるAI活用の可能性と、その高い拡散力を証明したユニークな成功事例です。

生成AIを活用した動画制作を成功させるポイント

AIの得意・不得意を見極める

生成AIは万能ではなく、得意・不得意があります。ナレーションやアバター、簡単な編集は得意ですが、ブランドの世界観を構築するクリエイティブな判断や細かい表現調整は人間が行う必要があります。AIの力を最大限引き出すためには、適切な役割分担が重要です。

目的と導入範囲を明確にする

「制作スピードの向上」「コスト削減」「多言語展開」「大量制作」「表現の幅を広げる」など、導入目的を最初に決めることが成功の第一歩です。目的に応じて、導入するAIツールや適用範囲を決めることで無駄がなくなります。

著作権やセキュリティ対策を徹底する

生成AIコンテンツには、著作権や情報漏洩のリスクが伴います。使用するAIモデルのライセンスを確認し、商用利用の可否やクレジット表記の要不要を事前に把握することが不可欠です。

まとめ

本記事で紹介した10の事例のように、生成AIの活用は動画制作の在り方を大きく変えつつあります。コスト削減や業務効率化はもちろん、これまで実現が難しかった多言語への同時展開や、個々の顧客に最適化されたパーソナライズ動画の大量生成も可能です。自社の課題と目的を明確にし、適切なAIツールを選定することで、動画活用の可能性は飛躍的に広がるでしょう。この記事が、貴社の新たな一歩を後押しできれば幸いです。

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